ホーム2010第2クール(春)デュラララ!!> 第24話「則天去私」(終)

デュラララ!! 第24話「則天去私」(終)

「則天去私(そくてんきょし)」の意味は、天意に従って、私心を捨て去ること。
この四字熟語は夏目漱石が晩年に残した人生観を表した言葉であり、帝人達がこの物語の中で、この言葉のような教訓に気付き成長するというのがこの作品のテーマだったのではないのでしょうか。
そして、肝心の最終回の内容は、素晴らしかったです。
きっちり、全24話の最終話らしく、このエピソードで上のようなテーマーの伏線を回収して答えが出された、見事な幕の綴じ方をしていました。

前回、帝人達3人が集結しサプライズな終わり方をしたのですが、門田さんらダラーズが紛れ込んでいたというサプライズがまだありました。
登場人物のすべてが絡んでくる最終回、お見事です。
そして、紀田君は法螺田に一発、パンチを入れて気持よく気絶していきます。
事件が解決していき物語が収束していく・・・そんな、気持ちの良いシーン連続の最終回。

平和島静雄さんの出番ももちろんありましたw
またもやバケモノっぷりを披露してくれます。
三ケ島沙樹事件にも関わっていた法螺田は、最後は逮捕と言う結末にたどり着きました。

しかし、完結しない物語もあったわけで・・・
これらの事件の黒幕が折原臨也だと知っていた園原杏里は、臨也の元へ決着をつけに行きますが、ここに臨也が来るのも策略のひとつだった臨也さんです。
かれも、平和島静雄とはれるほどの手練だったわけで、導いたのは宣戦布告だと言う折原臨也でした。
ある意味、このシーンは2期へのフラグですねw

そんな未完のもやもやを晴らしてくれたのがサイモンさん。
池袋の守り神、サイモン。静雄や杏里とも張り合える臨也をあっさりぶっ飛ばすとは、やっぱりこの人が最強なのでしょうか。
臨也をぶっ飛ばしてくれて、彼の平和島静雄へのコンプレックスを暴き、一応、臨也の物語にも区切りをつけてくれました。

そして、矢霧波江さんの前回の電話は、やはり法螺田へのものだったのですが、臨也の命令じゃなくて彼女の独断と判明。
臨也の策略を阻止した人がこんなところにもいました。だから人間は面白い?
セルティさんの首はまだ、臨也のもとにあります。

そして、最終回一番のサプライズにして見所の紀田君と三ケ島沙樹さんのシーンです。
三ケ島沙樹さんの足は仮病だったわけで、歩いて紀田君の前に現れました。
そんな沙樹さんは、あの日、自分から人質になったこと、仮病のことを正直に告白します。
ここで、紀田くんは男を見せ過去を乗り越えます。衝撃の事実を自分の中で押し殺し、全部知っていたと優しい嘘をつきました。
そして、助けに行けなかったことを素直に謝り、告白しちゃいます。
門田さんに言われたことに答えをだし、過去を乗り越えた紀田くんです。
一方、勇気を出して、臨也に逆らった沙樹さんも素敵です。
そんなわけで、最終回で素敵なラブストーリーが完結いたしました。
そして、二人は姿を消しました。なんという高一w

もう一組の完結していた、カップルですが、セルティさんエロス。

紀田君が去ってしまって、いつも3人だった日常が変わってしまいますが、相変わらず、バッカーノが上映中の池袋。
ダラーズはそんな池袋のような街だとわかった帝人。そんなわけでダラーズは消えません。
また、チャットでは紀田君の声の謎のバキュラさん登場。
甘楽さんにチクリと言ってチャットから落ちていくバキュラさんでした。
帰るべき場所、失った日常はネットの中にも存在していたと帝人。

最後は、帝人のナレーションで締められます。
奇妙で人生を変えるような経験をした帝人達ですが、そういうものこそどこにでもあることで変わっていく日常そのものが人生なのではないかみたいな感じでしめられ終了。
まさに、ここで帝人が言ったことがこの全24話で表現されていたと思います。
そして、正臣は絶対に戻ってくるとも言っていました。
これは、2期フラグなのでしょうか。期待したいところです。
しかし、2期がなくとも、作品としてはキッチリ完結している内容だったと思います。

<総評>
全24話のシリーズ構成が見事に練りこまれた群像劇の良作です。
作品の大きなテーマと物語が最後に見事に集結し、同原作者著の姉妹作バッカーノと同様の映画的な展開、演出が心地良い作品となっています。
また、バッカーノよりは人間関係が複雑すぎることなく、1話1話の物語の完結性の高さからも観やすい内容になっているような印象を受けました。
2010年上半期の中で、1,2を争う良作と評価します。


©成田良悟/アスキー・メディアワークス/池袋ダラーズ・MBS

デュラララ!!レビュートップへ

inserted by FC2 system