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「日常」 最終話 「バースデー ほか」

「日常」最終話。
ついに来てしまった日常最終回は、原作者あらゐけいいち自らが脚本を担当の感動の締めくくりエピソード。
原作者ならではの完璧なキャラ立てと世界観が描かれる脚本で、単行本第6巻の続きの新ネタと今後の隠れ設定を匂わせるようなお話もある、奇跡の連続でできているという「日常」が見事に描かれて締められた納得の最終回となっていたように思います。
演出は第2話以来となる助監督の石立太一が担当しており、第2話同様に原作世界を見事にアニメに再現させた内容となっていて最終回に最高のエピソードを用意してくれていた本作です。
ということで、日常好きにはたまらない納得の最終回だったように思います。

最終回は、なのちゃんの誕生日を勝手に祝おうと計画するゆっこ達3人のシーンがスタート。
この突拍子も無い計画が、色々と奇跡を起こしそうで起こさないなのちゃん感動ラストの最終回の日常を演出します。

3人の会話はなぜかみおちゃんのフラレ話になってしまい、「まだ好き!」と宣言しちゃうみおちゃんでした。
ということで、開き直ったみおちゃんは「そこんとこヨロシク!」と笹原先輩への恋を続けることを宣言。
みおちゃんの野球はまだゲームセットではなかったみたいですw
これで設定維持で原作へと続く形でみおちゃんのアニメ版恋話が完結です。

そして、最終回の主役で本当にこの日が誕生日の東雲なのが登場。
ネジを外して小さいのを取り付けるというはかせに大喜びのなのちゃんですが、この高校デビューから友達が出来るまで色々なのちゃんを悩まさせたネジ話が最後に感動の日常振り返り展開に一役買います。
ちなみに、ここではかせは小さいのを取り付けてネジを戻すとちゃんと言いかけているわけで、悪意はないようですw
その誤解が最後のなのちゃんの選択話によいスパイスを与えてくれます。

ここで、今後もまだまだ続きそうな校長と教頭のラストエピソードが登場。
このネタで気になったのは、校長の苗字がさり気なく東雲(しののめ)であることが明かされたことです。
はかせと同じ苗字をもつヅラの校長。
はかせとなにか血縁関係があるのかいなかは原作へと続く感じとなっていました。

そして、囲碁サッカー部ネタも最終回。
ブラックバードで朝一に登校した大工君でしたが、関口ユリアさんが先に部室におりました。
その関口ユリアさんがついに囲碁サッカーをやると告白しだしたわけで…そんな囲碁サッカー部に面白い動きがあったところで囲碁サッカー部の日常はまだまだ続くよエンドとなってしまいました。関口ユリアさんの恋の行方がめちゃ気になりますw

お次は、ゆっこが起こす様々な日常の奇跡ネタが登場。
アリの命を救う些細なことだったり、アクシデントが逆に奇跡を起こしたり、どうでもいいようなことだったり、これぞ日常の真骨頂と言えるようなテーマがストレートに詰まったネタとなっています。
些細な日常の中にも笑いと感動が溢れていることを教えてくれる人生謳歌な本作のメッセージを代弁するようなネタです。
これをつまらないの一言で片付けてしまうのは、色々ともったいないことかと思われます。

ゆっこにぶつかられてコーヒーをこぼした笹原先輩に立花みさととのラブなエピソードが待っていたりと日常は何が原因で何が起こるかは分かりません。
そういうことに悟りを開いているのか、コーヒーをこぼされても全くゆっこに怒らない笹原先輩が非常に深い人物となっています。
さすが、「日常は奇跡の連続で出来ているかもしれない」や「ぬかしおる」の名言を吐く人物です。

そして、桜井先生が持っていた花の花粉が原因で目撃することになったゆっこのくしゃみの虹が登場。
醜くも美しい世界そのものが描かれるシーンです。ほんまかいなw 

違う所では、ゆっこが飛ばした鳩(いつぞやの鳩?)を校長が見上げてヅラが自然に戻るところをなのを監視してた中村先生が目撃。
色々奇跡が起こりすぎて、なにからつっこめばいいのか困りますw

最後のなのちゃんの選択にも繋がるゆっこのなののロボなところを気にしないシーンも登場。
そんな馬鹿な子ゆっこが奇跡を起こしまくるオシャレで深いお話でした。

原点回帰で再登場のじゃんけんネタは、ついになのが普通に勝ったもののはかせが前が見えていない状態で。
そんなに人生甘い話はないということでw

暴れまわったオチは、このかぼちゃは固いw
最終回にこのシュールな意味なしネタを入れるセンスがパないです。

そして、阪本さん初登場回から伏線を貼って、引っ張りに引っ張っていた中村先生と阪本さんの再会ネタが最終回でついに登場!
やっぱりやってくれました!
ここで中村先生に飼われていた時代の阪本さんの名が「大将」だったことが判明w

その中村先生は、猫舌の猫にカップラーメンを与えたりと、悪気はないもののドジっ子天然キャラで阪本さんを虐待していたことが判明。阪本さんが旅立つお別れの日のシーンも登場です。
いやー、色々と繋がる待望の素晴らしいカタルシスエピソードです。中村先生のキャラが最高ですw

溺愛していた大将を探す中村先生と今の飼い主のなのちゃんが出会って、互いの飼い猫の話をする奇跡のシーンが登場。

オチは、阪本さんは結局どっちに飼われてもいじめからは逃れられないわけで…
阪本さんが見事なディスられキャラとしてここに完成ですw
というわけで、とっておきの阪本さん完結話が最終回に登場してくれちゃいました。

そして、本編締めくくりとなる東雲なのの誕生日会エピソードがラストに登場。
ついに小さいの取り付けることになって、待望のネジとのお別れすることが決まったなのちゃんです。
ここで、自分では外せないけど付けることはできるというはかせの粋なネジ設定が判明です。
いつぞやにみおちゃん姉にネジを外されたエピソードとも設定が繋がります。

しかし、別れるとなった段階でネジが取れて普通の子になってもっとみんなと仲良くなれるかを考えたなのちゃんが、ある答えにたどり着いたようです。ネジがあってもみんなは…なのちゃんと一緒にうるっときてしまいます。

ということで、さり気なく自分でネジを装着してゆっこ達を迎えるなのちゃんでした。
ええ話です(涙)

そして、誕生日と言ってないのにみんなが集まってくれて賑わっているこの日常の奇跡にホロッとしてしまうなのちゃんが泣かしてくれます。こんな感情をもってるなんて、はじめっからロボじゃなく普通の子です(涙)

それから小さいネジのことを断ろうとした時、はかせからネジは外れない仕様なのを明かされてしまうなのちゃんでしたw
ということで、この時感じた熱い思いはなのちゃんの胸にひっそりとしまわれることになったわけで…
オシャレで粋なシナリオです。

最後は、活躍するフラグが立てられていた予備のケーキも落としてしまうというグダグダ展開でみんなが笑って楽しく終了。
はかせ発明のなのが嬉しくなったときにそこそこ回る小さいのの新機能が早速機能しておりました。
ここでもはかせの粋な演出が光ります。

空には大工君のブラックバードが颯爽と飛んでおりましたw
最後を締める日常の奇跡です。

ED後のもう一つ追加エピソード。
第1話の最初のエピソード「単純な馬鹿でありたい。」の対となるネタになっていて、見事に単純な馬鹿になれたゆっこでしたw

というわけで、あらゐけいいちのジャンル分けの難しいコアなシュールギャグ?作品をアニメ化した京都アニメーションの挑戦作がここに終了です。その少し人を選ぶ原作を一般向けに改変すること無く原作再現(シリーズ構成は少しいじりましたが)にすべての心血を注いだ男気ある本作が個人的にはかなり好きな作品となっています。
そんなターゲットの狭めな私得なコアアニメ作品となった感がある本作ですが、もちろんアニメ層を広げつつヒットを狙って作られていたと思われるわけで…今後もこれに懲りずにアニメ界に刺激を与える挑戦作を京アニさんには作り続けてほしいと思います。
もちろんヒットするのが絶対条件ですが。結構無理難題ですw

©あらゐけいいち・角川書店/東雲研究所

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