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「夏目友人帳 肆」 第8話 「惑いし頃に」

「夏目友人帳 肆」第8話。
第8話は、的場一門の祓い屋・七瀬の過去エピソード。
夏目と同じように妖との付き合い方に悩んでいた七瀬の過去と現在が描かれるめちゃいいお話の今回です。
現在は妖を人間と区別して冷酷に使役して祓う七瀬ですが、昔は夏目と同じように妖が見えることに悩んだり情をかけてしまう優しくて強い人だったわけで、そんな七瀬が今の自分になるきっかけとなった妖との切ないお話が今回明かされます。
そんな七瀬の現在と過去のお話にレイコさんと夏目貴志が間接的に関わってくるシナリオがこれまたオシャレだったわけで、七瀬が昔の自分と重ねて夏目を見守っている理由も分かって夏目の今後がこれまた気になる素晴らしいお話だった今回です。

はじまりは、祓い屋の家の子として育った七瀬の少女時代の妖封印シーンから。
この頃からすでに強い力を持っている七瀬ですが、巻き込まれた小天狗に情をかけてしまい封印に失敗してしまいます。
現在は「ゆるゆり」の豊崎愛生キャラみたいなおばあちゃんになっている七瀬ですが、少女時代の七瀬がなかなか魅力的なキャラクターとなっています。

そして、その時の小天狗が夏目の前に名を返してもらいたい妖がいると現れます。
夏目をレイコさんと間違えるなど、妖と人との時間感覚の違いが相変わらず面白い本作です。

ここで、夏目たちとはぐれてしまったニャンコ先生が井戸の中で七瀬と偶然出会います。
七瀬も過去に自分が封印した小天狗が探すのと同じ妖の石を探していたわけで、過去と現在を繋ぐ謎解き妖物語が面白く展開する今回です。

というわけで、妖との関係に悩む七瀬が小天狗を連れて凄腕の祓い屋と言われる夏目レイコを探す過去話がスタート。
そんな七瀬ですが夏目と同じように見えることを同級生に忌み嫌われていたりもしたわけで…
今回はアニメオリジナル回とのことですが、オリジナルとは思えないほど七瀬のキャラに深みが増す今回です。

そして、小天狗がレイコさんと間違えた実は主を失って一人で妖祓いをしていた式のミカゲが登場。
七瀬はそんなミカゲが妖であることとは知らず祓い屋の業というものを彼から学ぶのでした。
今回のゲスト妖のミカゲもなかなかの魅力的なキャラクターでした。

お話は少し飛んで、このままでは悪しき存在になってしまうミカゲの正体を知った七瀬がミカゲを勾玉(まがたま)に封印するという悲しい展開になります。これはレイコさんに断られたミカゲ自身が七瀬に頼んでことだったわけで、これが七瀬が祓い屋としてはじめて意識して業を背負う初仕事というわけでした。

そんな祓い屋としての興味深い話を聞いたニャンコ先生が今回もええ顔をしています。
七瀬の話を聞いて、また人という生き物について造詣を深めるニャンコ先生でした。

結局、相容れない形でお別れした二人でしたが、七瀬が夏目に興味をもつ理由や背負っている業が明かされる七瀬の好感度がうなぎのぼりの今回です。

そして、最後にそんな過去話があったなんて露も知らない夏目貴志がミカゲに名を帰して封印を解くオシャレな締めくくりが待っていました。復活したミカゲは元の翡翠(ひすい)の石に戻るという少ししんみりする結末もまた味があります。

そんなわけで、七瀬と夏目やレイコさんが直接会うとことはないのですが、七瀬の祓い屋人生に影響を与えた過去と現在の妖物語に二人が大きな役割を果たすというオシャレで感動させられるめちゃいいお話の今回でした。
すべての真相を知るのがニャンコ先生だけというのもオシャレなシナリオです。そんなアニメオリジナルの今回のシナリオを担当しているのが第5話の原作を膨らませてオシャレな夏目の二元過去話にしたシリーズ構成の村井さだゆきさん。今回も素晴らしい仕事をしておられます。

©緑川ゆき・白泉社/「夏目友人帳」製作委員会

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